2006年2月アーカイブ

「いただきます」と「おじゃまします」のお話

園長: すぎもと かずひさ (2006年2月 1日
 「いただきます」と「おじゃまします」―なんともいい言葉である。この二つの言葉をかみしめてみる。う~ん、この言葉に秘められた精神を実生活で全うするのは、さて、難しい。幼いころから何気なく親しんできた言葉であり、親や学校の先生方をはじめ、さまざまな人たちからその意味について教えられてきたのだろうが、自分なりに本来の意味を理解し、食事前や訪問時の所作に心をこめだしたのは成人してからのことではなかろうか。いまだに食べ物をぞんざいに扱ったり、人とのふれあいにおいて謙虚さを忘れたりなど、まだまだ感謝の足りないことである。
先日テレビのとあるドキュメンタリー番組で、洋菓子界における世界的賞を獲得しながらも「食べると幸せになる味」をモットーに自分で味の責任を負える範囲内での地道な活動を選択し続けておられる、あるパティシエの生き様、仕事ぶりを拝見する機会に恵まれた。当時、二十歳代半ばの彼は日本の有名ホテルでの修行を経て、世界のひのき舞台であるフランスへ単身渡るのであるが、なかなか目指すところで働くことができない。苦悩の中、それでもあきらめきれず4年間送り続けた憧れの師へのアプローチの手紙。そして、ようやく念願の店へ。そこで彼は驚きに出会う。なんと街中の調理師学校のレシピも憧れの一流店のレシピも寸分違わず同じであったというのだ。驚くほどの味の差は、ただひたすら一つ一つの過程を丁寧に、完璧を目指し創りこんでいくことのみにあった。「当たり前のことを当たり前にすることが難しく、大切なことである」含蓄ある彼の言葉は、まさに保育においても、他の分野においても同じことであろう。「いただきます」と「おじゃまします」をテーマにくりひろげられる今年の童心の集い(3歳以上児生活発表会)。将来、この子どもたちが言葉本来の意味に気づき、その生き様に取り込んでくれることを願い、保育に向かう。

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