2008年5月アーカイブ

♪「だから、今歌う」のおはなし

園長: すぎもと かずひさ (2008年5月 1日
来年4月1日告示予定の保育所保育指針改訂に伴う保育課程の編成をテーマに恒例のみむろど、Hana花、宇治福祉園合同宿泊研修会を催した。「子どもたちにとってのしあわせとはなにか?」「子どもたちが今を最も良く生き、望ましい未来を創りだす力を育むとはどういうことか?」「それらを具現化していく保育者の在り様とはなにか?」等について、職員一同、子どもたちの活動と体験がよりよいものとなることを願い、自問自答し、議論を深めていった。結論は、子どもたちにとっての豊かな体験とは、よそから持ってきた特別な経験などではなく、日常生活をともにする保育者自身の専門性と人間性の向上に他ならないということを再認識したことは、わたしにとって大きな収穫であった。
 音の環境を例に挙げてみよう。子どもたちの周りには実にいろいろな音がある。街には街の音、森には森の音がある。街なかでは、工事の音、車のクラクション、ダンプカーがバックするブザー音、踏切の音などが聞こえてくるであろうし、森においては、木の枝や葉のざわめき、落ち葉のこすれる音、鳥や虫の声、小川のせせらぎなどの自然音が聞こえてくるであろう。また、近くでする音、遠くから聞こえてくる音、楽器の音、CDの音、さまざまな人の声などなど...。こんなことに思いを巡らせ、感性を働かせていくと、「子どもたちに聞かせたい音とは何か?」というたったひとつの命題にさえ無限の自由を発見し、歓びが込み上げてくる。
 
 最高の胎教音楽は母の音である。母の心音であり、その統一的で全体的としかいいようがない肉体から伝わってくる筋肉や骨や血流などが統合された、まさしく生命のまんまの音である。そして、誕生。愛情のこもった呼びかけや語りかけが、いつしか鼻歌になり子守唄になる。その声が肌を伝って降り注いできたとき、子どもたちはどんなに心地よく、やすらぎ、歓びに満たされるであろうか。クラッシックの名曲といっても、乳幼児期においては、子どもたちが誰よりも好きな身近な人の、子育てに携わる人たちの愛情あふれる肉声には遠く及ばない。子どもたちが現在を最も良く生き、望ましい未来を創りだす力の基礎を培うためには、今を最も良く生きているわたしたちの存在もまた大切であろう。だから、今歌う。

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