2014年11月アーカイブ

ザッスッザッ・・・。

わたしの身体に住みついている子どもの躍動と脈動がずんずん鳴って野山を廻る。

何て出会いだろう、「一片の落ち葉」と子どもとの出会い。

息と心を弾ませながら、駆け寄ったかと思うと、葉っぱはもう手のなかでひらひら可愛い眼と遊んでいる。

木漏れ日に紅葉の地面。光と音が織り成す世界がどこまでも子どもの夢を綴ってゆく。


大吉山に興聖寺、自衛隊宇治駐屯地、黄檗公園、子どもの楽しい足音が集めてきた数々のどんぐりや木の葉、小枝たちが、今、保育園中を賑わしている。


出会いの感動を越えて、子どもの生活空間にまで自然の恵みが生きている。

木の葉で飾った段ボールの家で遊ぶ0歳児さん。

木の葉をさんまに見立ててままごとを楽しむ1歳児さん。

見つけ拾った木の実を互いに見せ合いっこする2歳児さん。

散歩で袋一杯集めた木の葉や木の実を部屋に飾り、さらに創意工夫を加え自分の願いをプレゼントやマスコット、アクセサリー等々に仕上げては、種々のあそびに活用する3歳以上児さん。


大自然の中では極めて小さい存在であるわたしたち。

子どもと子ども、子どもと大人、大人と大人、さまざまな人と人との縁を結ぶ「一片の落ち葉」であったことを思う。

森の中で遊ぶ。

木の下の落ち葉を掃除する。

自然の中に溶け込んでいるのではなく、自然のお蔭で人と人とが結ばれている。


このようなご縁をいただいて、3歳児さんになるとクリスマス・ツリーを自分たちでつくる計画がある。

常緑樹の緑がクリスマスカラーのひとつであり「永遠のいのち」を指すように、子どもの元気は人類にとって「永遠のいのち」そのものである。

一人一人の子どもがうれしいこと、楽しいことに着眼し、喜びの体験を語り、仲間と分かち合う。散歩やあそびで集め遣い込んできたお気に入りの木の枝を仲間といっしょに生けていく。

人のいのちに限りはあるけれど、「喜びの気」を集めて人類という太い樹木に永遠のいのちを吹き込みクリスマス・ツリーにしようというプロジェクトである。


はじめて取り組む3歳児さん、昨年からの木をさらに大きく育てる4歳児さん、一昨年から3年がかりのツリーづくりがうれしい年長児さん。
そのそばで「いい気」をたっぷり浴びる012歳児さんとわたしたち。
日暮れの早い師走の夜に子どもらのイルミネーションが光る。
光の周りに子らの笑顔と声がある。
いつまでもこの素晴らしい世界がありますように。

26年11月 『子楽の秋』のお話   すぎもと かずひさ

園長: すぎもと かずひさ (2014年11月 1日

秋の道、子どもらの靴がなる。

花や落ち葉や虫などなど、発見のたびに立ち止まる。

「しゃがんでな、よっこらしょっと」

可愛いお尻を突き出し、全身でバランスを取りながら地面に見つけた宝物を凝視する。

低年齢の子どもたちにとってはしゃがむという動作は大仕事。

ところが、好奇心に満ちて、こころも元気、身体も元気、笑顔いっぱい、感動いっぱい、一体どれだけのことを吸収し、学んでいるのか、そばにいるこちらがワクワクするほどの顔つきである。


興味のままに、気ままに歩く。

転んだり虫に刺されたりといったアクシデントでもない限り、子どもは乱れたり崩れたり機嫌を損ねたりしない。

季節はずれのタンポポに「わぁ~」、いろんな絵柄のマンホールに「きゃあ~」、歩みのたびにさまざまな世界と出会い、全身でそれらの恵みを享受している。

このような体験を通して

『喜びは人に与えられるものではなく、自ら掴み取るものである』

ことを体験的に学び、やがて

『自らの人生を自らが主役となって生き生きと生きる』

人間性や人格が形成されていく。

大人の勝手で抱っこなどするのはもったいないと感じるのはこんなときだ。


近年、子ども自身に能力があるにもかかわらず、その実力を発揮するどころか、年齢とともにすぼませていくといった感の子どもさんにたびたび出会う。

潜在力はあるのだが、大人にかまわれ、自ら行動する機会を失い、大人との人間関係においてすっかり依存的関係になっているケースがほとんどである。


このような場合、

3歳にもなっているのだからみんなと同じように・・・」

といった集団適応を第一義に目指すのではなく、一人一人の子どものペースに合わせてひたすら自発的な活動を待つことを優先するのが三室戸・Hana花・みんなのき共通の保育方針である。

「好奇心に満ち、喜びに満ちた行動」

さえ芽生えてくれば、自然、能動的かつ持続的に健全な循環が生まれ、習慣が育まれていくからである。


さて、ある年の秋のこと。

3歳児の担任の表情がやけに明るい。何かしゃべりたそうに口の周りをもぞもぞさせている。

尋ねると、春にはまったくといっていいほど歩けなかった子どもが大吉山の頂上までの往復2.2km標高約130mの道のりをはじめて完歩し、うれしくてしょうがないとのことであった。

保育室で、廊下で、園庭で、約半年の間、その子の気持ちとじっくりつきあい、ようやくたどり着いた喜びの道のりであった。


彼は保育園というささやかな環境の中で自ら楽しみ動く子どもになった。

「行楽の秋」車での遠出もいいが、子どもは、今、ここにいる。

自ら動く喜びを子どもたちへ。

「子楽の秋」。

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